物語のまとめ

 ワイス博士の著書『魂の伴侶』の第一章の冒頭にソウルメイトに対するワイス博士の詩にも似た美しい文章がある。原文のままそれを引用させてもらい、この章の閉めとしたい。

 誰にとっても、誰か特別な人がいる。時には二人、あるいは三人、あるいは四人のことさえある。その人は別の時代からやってくる。時間の海を越えて、天の次元の深みから、あなたと再び一緒になるためにやってくるのだ。その人はあちらの側の世界、天国からやってくる。そして、違った姿をしている。しかし、あなたは心で見分けることができる。あなたの心は、月に照らされたエジプトの砂漠や、モンゴルの平原でその人をあなたの腕に抱きしめたように、その人を再び抱きしめる。あなたたちは一緒に、今まで誰からも忘れ去られた将軍のひきいる軍隊の仲間として、草原を馬でかけめぐったことがあった。そして、太古の昔、どこかの岩の洞窟の中で、一緒に暮らしていた。あなたたちは時を越えて結ばれている。そして、あなたが、一人ぼっちになることは、これからもないだろう。
「私はあなたを知らない」と、あなたの頭は抵抗するかもしれない。でもあなたの心は憶えている。その人があなたの手を初めてとった時、彼の手の感触は時空を越えて、あなたの存在のすべての原子をゆさぶる。その人があなたの目の中をのぞく。すると、あなたは相手の目の中に、何世紀も向うの魂の友を発見する。あなたの心は高鳴り、腕にとりはだがたつ。この瞬間、まわりのものすべてが消え去ってしまう。
 やっと再会したとしても、あなたが彼に気づいたとしても、彼のほうはあなたに気がつかないかもしれない。あなたは二人が縁で結ばれていたことに気がつく。二人のこれからの可能性も見えている。しかし、彼は気がつかない。恐れと、理性と、問題が、彼の心の目にベールをかけているのだ。あなたがそのベールをどけようとしても、彼はそうさせてはくれない。あなたは嘆き悲しみ、彼はそのまま行ってしまう。運命とは、それほど微妙なものなのだ。
 二人が互いに気づいた時、二人の情熱はどんな火山よりも激しく噴出する。計り知れないほどのエネルギーが放出される。
 魂同志の認識が、瞬間的に起こることもある。突然、親しみの感情が湧き上がってくる。意識のレベルの計り知れない深い場所で、今、出会ったばかりの人を知っているという気がする。最も親密な家族に対するものと同じ深さか、さもなければ、それよりも、ずっと深いところで感じる感覚だ。そして直感的に、何を言えばよいか、相手がどう反応するかも知っている。一日、いや一週間、または一ヶ月で獲得できるより、ずっと深い信頼と安心が一瞬のうちに生まれる。
 魂の認識は、かすかに、そして、とてもゆっくりと起こることもある。まるでベールがゆっくりともちあげられるように、少しずつ、気づくこともあるのだ。誰もがすぐに気がつくわけではない。タイミングというものがあり、最初に気づいた人にとっては忍耐が必要な場合もある。
 あなたの魂の友が現れていることに、顔の表情や夢、記憶、感覚で気がつくこともある。手が触れ合った時、くちびるにキスした瞬間に、あなたは目覚め、魂が躍動しはじめるかもしれない。
 子供の体に触れた時、お父さんやお母さん、兄弟姉妹に触れた時、親友に触れた時に思い出すこともあるだろう。または恋人がキスをした時、それは何百年前の前世の恋人のキスであり、二人は時が終わるまで、ずっと一緒だということを、あなたが思い出すこともあるのだ。